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石炭ガス工場跡地(長崎県島原市高島)の土壌・地下水に関する
調査結果と今後の対策について

平成25年7月16日

 西部ガスでは、法令順守や環境問題への対応を重要な経営課題と位置づけており、平成22年4月1日の改正「土壌汚染対策法」の施行を契機に、平成23年6月に社内に専門の組織を設置して、石炭ガス工場跡地の土壌に関する計画的な自主調査と対策を進めてきました。

 このたび、弊社は、長崎県島原市高島の石炭ガス工場跡地において、自主的な土壌調査・地下水調査を実施いたしました。その結果、当該敷地内の土壌の一部区画から土壌汚染対策法の基準を上回る特定有害物質が検出されました。一方、地下水からは環境基準を上回る有害物質は検出されませんでした。また、今回の調査結果については、弊社はすでに長崎県に報告を行っており、長崎県が汚染の影響が及ぶ可能性が高い範囲の飲用井戸の調査を実施された結果、地下水の汚染は認められなかった(基準を上回る有害物質の検出なし)とのご報告をいただいています。

 当該用地については、アスファルトや建物などで地表面が覆われていることや、地下水の汚染は認められなかったこと、長崎県の飲用井戸調査の結果(基準を上回る有害物質の検出なし)から、弊社では、現状においても周辺の生活環境への影響はないと考えております。このようなことから、弊社では、今後も長崎県のご指導をいただきながら、建物や設備の建設など、今後の土地の改変にあわせて適正な土壌対策を行ってまいる考えです。

 近隣の皆さま、ならびに関係各位には、ご心配、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解・ご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。


1.調査対象用地(所在地および面積)
長崎県島原市高島2丁目7197番(約2,300m2
【当該用地の履歴】
島原市高島用地においては、大正3年(1914)に島原瓦斯(株)が石炭を原料とする都市ガス工場を建設しました。その後、九州瓦斯(株)<注>を経て、昭和18年(1943)に弊社が事業を継承し都市ガスを製造・供給していましたが、昭和39年(1964)に都市ガス原料を全て石油系原料(LPG)に切り替えたことから、石炭ガス製造設備は廃止しました。
これ以降、当該用地の工場では石油系原料(LPG)で都市ガスを製造していましたが、平成17年(2005)に島原地区の都市ガス原料を全て天然ガスに切り替え、現在は天然ガスを原料にした都市ガスを製造しています(石油系原料の製造設備は廃止)。
<注>現在の九州ガス(株)様(本社:長崎県諫早市)とは異なります
■調査対象土地の概要図については、
資料:調査対象用地の概要と調査結果について」をご参照ください
2.調査を行った経緯
平成22年4月1日に改正土壌汚染対策法が施行され、一定規模(3,000m2)以上の土地の形質変更(土壌の掘削、盛土などによって土地の物理的形状を変更する行為)を行う者は、都道府県知事への届出が義務付けられ、また都道府県知事は、その土地に土壌汚染のおそれがあると認める場合は、土壌汚染状況調査の実施を命ずることができることとなりました。
これを契機に、弊社では所有する石炭ガス工場跡地について順次計画的な自主調査を行い、土壌汚染が認められた場合は、速やかに適切な対応を行うこととしました。今回の島原市高島用地の調査についても、その一環として過去の土地履歴を踏まえて実施したものです。
3.調査方法
環境大臣が指定する指定調査機関に依頼し、土壌汚染対策法で定める25種類の特定有害物質のうち、ベンゼン以外の揮発性有機化合物(10項目)、農薬類(5項目)を除く10項目に関する土壌汚染の全体像の把握を行いました。具体的には、土地を10m単位の格子で区切り、調査ポイントを設定し、そのポイントにおいて、表層土壌と土壌ガスの調査、及びボーリング調査を実施しました。 (調査ポイント数:25箇所)
また、地下水については、敷地内に調査井戸を設置して地下水を採取し、水質調査を実施しました。 (調査井戸本数:2本)
4.調査結果、および周辺への影響について
  1. (1)土壌調査の結果
    土壌溶出量の調査において、下表のとおり、基準を上回る特定有害物質が検出されました。
    また、土壌含有量の調査においては、基準を上回る有害物質は検出されませんでした。
  2. ■調査結果については、
    資料:調査対象用地の概要と調査結果について」をご参照ください
  3. (2)地下水調査の結果
    地下水調査においては、環境基準を上回る有害物質は検出されませんでした。
  4. (3)周辺への影響について
    次の理由から、現状において、健康被害など、周辺の生活環境への影響はないと考えています。
    1. ◎当該用地は、アスファルトなどで地表面が覆われていることから、土壌の飛散などによる直接摂取による健康影響はないと考えられることと
    2. ◎地下水から、環境基準を上回る有害物質が検出されなかったこと
    3. ◎長崎県が汚染の影響が及ぶ可能性が高い範囲の飲用井戸の調査を実施された結果、汚染は認められなかった(基準を上回る有害物質の検出はなし)とご報告をいただいていること
5.特定有害物質が発生した推定原因
当該用地においては、大正3年〜昭和39年に石炭を原料とする都市ガスを製造しており、その製造工程で微量のシアンが生じていたことや、原料の石炭には鉛などの物質が微量に含まれていたなどの状況があったと考えられます。操業時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷などによる漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます。
なお、当該用地については、昭和39年に石炭を原料とする都市ガスの製造を廃止しており、これ以降の新たな有害物質の発生はありません。
6.対策の概要
当該用地については、今回の調査で土壌の一部から基準を上回る有害物質が検出されたものの、現状において、健康被害など周辺の生活環境への影響はないと考えられます(※)。このような状況をふまえて、次のとおり対応します。
(※)「4.(3)」をご参照願います
  1. (1)土壌対策
    現時点では対策工事は行わず、建物や設備の建設など、今後の土地の改変のタイミングにあわせて適正に対応します。
    具体的には、土壌汚染対策法の基準を上回る特定有害物質が検出された区画の汚染土壌の掘削・除去、不溶化などの措置が考えられます。なお、掘削・除去した汚染土は、敷地外の専門処理施設へ搬出し、適切に処理します。
  2. (2)地下水対策
    当該用地における地下水汚染は確認されておりませんが、モニタリング井戸を設置し、今後も継続して状況を監視します。
  3. <対策工事における周辺環境保全対策>
    1. ◎汚染土壌の対策工事実施にあたっては、粉塵の飛散や汚染土壌が敷地外に出ないように行います
    2. ◎工事中に発生する排水については、適切に処理を行います
    3. ◎工事に伴う騒音・振動等による周辺への影響を極力少なくするよう、工法・使用機械の選定に配慮します
7.お客さまからの問い合わせ先
環境保全プロジェクトチーム(西部ガス長崎支社 総務部内)

◎電  話 :(095)827−8611
◎受付時間 :9:00〜17:30(土日祝を除く)

以上