誰が見ても「いい」といわれる仕事が、目標。 / 外管工事士 野田 隆志 / 株式会社山口組 佐世保

01初めての「現場」に興奮

地元の役に立つ仕事がしたい、と入社して1年半。野田さんは今、佐世保のあちこちの国道や県道、私道のアスファルトを切断し、その下に走る水道管や下水管、電気やインターネットの配線をくぐり抜けて、古いガス管を最新型のガス管に入れ替える工事を担当している。「初めて現場に行ったときは、道路の下はどうなっているのか、と興味津々。入れ替えとはいえ、道路側に埋設されているガス管から、個々の住宅にガスを供給する配管の流れを実際にみることにも、わくわくした」。

02機械がだめなら、人がやる

しかし、作業は‶予想外″の指示から始まった。スコップを手渡され、「土を掘ってくれ」といわれたのだ。「佐世保は、狭い坂や階段も多く、道路の下にある土を掘削する車両や機械が現場に入らないことも多い。そういうときは、自分達で掘るんだ」と先輩に聞いて驚いた。学生時代はサッカー部で活躍していて、体力には自信があった。やるぞ、と気合いを入れた。地表から、古いガス管の埋まっている箇所まで、1cm、2cm…と夢中になって掘り進めた。やっと、目の前にガス管全体がみえた頃には、腕はしびれ、パンパンになっていた。聞けば、入社して1年で、Tシャツの腕周りのサイズが変わったという。もちろん、佐世保でも車両や機械を入れて掘削することもある。「でも、機械にはできない現場を人がやる。これもやりがいがある」と語る。

03「ありがとう」に心打たれて

初めての配管作業は、どうだったのだろうか。聞いてみると「ちんぷんかんぷんだった」と笑った。「先輩にいわれるままに、道具を運び、手を動かしていたら配管が終わっていた。自分が、どの箇所に何をしたのかもわからなかった」。しかし、土の中できれいに収まったガス管を見ると、不思議な爽快感があった。ガス漏れはないか、無事に点火するか。屋内の確認まで終わり、先輩と並んで住民の方から「ありがとう」と笑顔で声を掛けられたときは、胸が高鳴った。その帰り道、疲れでぼんやりとかすむ頭の中で「これから仕事を覚えよう。自分で現場を理解して、自分で配管をやれるようになろう」と決めたという。

04叱られても、へこまない理由

「今はまだ修行中」と語る野田さん。仕事が遅い、段取りが悪い…と叱られることが続くと、心が折れそうになることもある。しかし「全部、その通り。だから成長するしかない」という。先輩の仕事をみれば、自分のだめなところがわかる。悔しいが、いい仕事をすれば、それもハッキリと現場に現れる。そのことが、励みになる。先輩達の優しさも、また支えだ。「仕事は仕事。休憩時間や現場からの帰り道には、失敗を何度も責めることもなく、一緒にスマホゲームをしたり、好きな服や靴の話をしたりして、気分を変えてくれる。いつか自分も、そんなふうになれたら」。

05プライベートも「楽しみ」に

もうひとつ、野田さんには日々の仕事を支えるものがある。それが、地元の仲間達と過ごす時間と長期休暇だ。「正月やお盆、GWには道路の工事許可が出ないので、ほぼカレンダー通りに休むことができる。好きなだけ趣味に没頭したり、地元の友達と遊んだり…そういう時間も大切。ただ先日、休暇中に米軍基地の近くを通ったとき『先輩が工事を担当している現場だな』と条件反射で頭に浮かんだときは、自分もすっかりこの仕事の一員になった、と感じた。入社前の写真と比べたら、派手に染めていた髪の色も、今は真っ黒だし」と笑う。

変わったのは、Tシャツのサイズや、思い浮かぶこと、髪の色だけではないだろう。日々、現場で汗を流す野田さんの凛々しい表情や、先輩の話を聞くときの真摯なまなざしも、どんどん輝きを増している。そのことは、野田さん本人以外、職場のみんなが知っている。

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