仕事の先に、広がっていくものを大切にしたい。 / 外管工事士 新町 健 / 熊本管工建設株式会社 熊本

01はじまりは「重大な任務」

入社して初めて、仕事の流れを一通りみたのは、熊本市内の繁華街での配管工事だった。人も車も、往来の多い現場だ。工事の開始時間になると、先輩が一斉に交通規制をかけた。何をしていいかわからずに立ち尽くしていると、道路の下から掘り出された、鉄製のガス管。「次々に出すから、どんどん磨いて」といわれて、ひたすらヤスリをかけた。異物が付着していると、新しいガス管との接合がうまくいかず、最悪の場合はガス漏れを起こす危険もある。簡単に思えた作業は、「重大な任務」だった。

02復習、復習、で一人前に

「長さや深さを測るメジャー。印をつけるマジック。PE管と呼ばれるポリエチレン製のガス管の表面を削るスクレイパー。接合するためのEFコントローラー。これが、必須の4点セット」と語る新町さん。他にも、現場によって配管工事には様々な道具や機械が要る。

「必要なことは全部、復習して覚えた。先輩たちは、どんな現場でもパッと判断して指示を出せる。その通りに作業すると、ピタッと配管が決まる。工事もスムーズに終わる。この人に褒められたいと思った」。そこからは、様々な配管工事の現場で、懸命に腕を磨き続けた。

03大切な想いは受け止める

班長に抜擢されたのは、入社10年目のことだ。肩書を持った途端に、現場の安全確保、状況確認など、かつてないほどの責任が肩にかかってきた。周辺の通行人や住民への説明・対応もそのひとつだ。ある現場では嬉しかった。お客様の協力があってこその、配管工事だから。

04ガスを届ける先にあるもの

道路のすぐ前の駐車場に、キズひとつない高級車が止まっており、日頃から手入れをされていると感じ、ホコリ等が飛散し、キズが付くのを嫌っていた為、車輛に直接養生シートを掛けることを避け、間接的な養生として、現場にあった使用しない看板を、壁として利用することで、対応した。そのおかげもあってか、お客様より「気を使ってくれてありがとう」と言われた時は、嬉しく思い、仕事への自信とやりがいを感じた。

繁華街にある居酒屋で、ガスを引き込む配管工事を担当したときも、火がともると店主は満足そうに頷いた。後日、友人に誘われて飲みに出かけるとたまたま、その居酒屋だった。注文して、テーブルに運ばれてくる料理を前に「これも、あの配管で流したガスで作られたのか」と想像すると、体の底からじわじわとあたたまるような思いがしたという。

05若い人たちに伝えたいこと

「屋外でのガス配管工事は、夏は暑いし、冬は寒いし、正直しんどいときもある」と語る新町さん。「それでも、毎回キッチリと仕事が『形』になって終わる達成感があるし、熊本の街で地元の役に立っている実感もある。ひとつのミスもなく現場が終わったときは、早く家に帰って、娘を抱きながらビールを飲むのが最高の幸せ。結局、いい仕事だなと思うことの方が圧倒的に多い」。

今年5月には、令和元年を迎えた。気持ちも新たに、今後の夢は大きくふたつだという。ひとつは、施工管理技士になって警察署へ工事の許可申請を出したり、西部ガスの担当者と打合せをしたり、工事の前段階から関わっていくこと。もうひとつは、後輩たちに今以上に仕事がしやすい現場をつくることだ。

「どちらも叶えたい」と、笑いながら去っていく背中には、明るい自信がみなぎっていた。

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