九州 老舗名店探訪
玉川食堂
107年の歴史を紡ぐ名食堂

▲店主の奥本泰年さん
祖母が開いた店を受け継ぎ
家族で守り続けてきた味
JR小倉駅からほど近く、多くの人でにぎわう魚町銀天街。一角に建つビルの地下に、107年続く食堂があります。地元客はもちろん、今では全国各地からの観光客も足を運ぶ「玉川食堂」です。
創業は1919(大正8)年、奥本(おくもと)キヨさんが豊前市宇島で「料亭 玉川」として店を開きました。息子夫婦である奥本島夫(しまお)さん・トメ子さんが店に立ち、料理の腕を振るったそうです。「二人ともとても丁寧な仕事をする和食料理人でした。父が刺身を引き、母が煮物を担当するなど役割分担しながら店を切り盛りしていましたね」。そう語るのは、キヨさんの孫にあたる現店主の泰年(やすとし)さん。約50年前、大学卒業後に本格的に料理の道に入り、両親からの味を受け継ぎお店を守っています。


現在の地に移転したのは、1961(昭和38)年。商店街で働く方や地元住民が気軽に利用できるよう、食堂へと形態を変えました。看板料理の一つが、旧豊前国地域に伝わる郷土料理でもある「ぬかみそ煮」(※)です。ぬか床は開業当時にはすでにあったそうなので、実に107年以上もの間受け継がれています。「ぬか床は生き物だと思っています。」と泰年さん。1日も欠かすことなく混ぜ、野菜や山椒などを漬け込み、大事に手をかけ続けたぬか床です。だからこそ生まれる奥深い味わいが、口にした人の心をつかんで離しません。※ぬか漬けを作るときに使うぬか床(ぬかみそ)を使い、青魚などを煮込む料理

▲小鉢は追加で単品注文もできる(各200円(税込))。左上から時計回りに「生野菜サラダ」、「おひたし(ホーレン)」、「やきみそ」、「マカロニポテトサラダ」、「いりこぬかみそ」「茶わんむし」
選べる小鉢もお店の名物
日替わりサービス定食がお得!
メニューは25種類以上ある定食をはじめ、丼や麺類など一品料理も多数。お得な「日替わりサービス定食」も4~5種類を用意しています。メインのおかずは日によってさまざまですが、「ぬかみそ煮」は必ずラインアップ。約20種類から選ぶことができる小鉢が付きます。どれも一つ一つ丁寧に手作りする、自慢の味。中でもポテトサラダとマカロニサラダが合わせた「マカロニポテトサラダ」は、料亭時代からファンが多い一品です。

昆布とかつおから1時間かけて出汁をひき、厳選したみそで仕上げるみそ汁もしみじみおいしい名脇役。ごはんは、大盛り・メガ盛り無料です。定食は1日中いつでも注文でき、「お酒を楽しみたい方やおかずだけを食べたい方もいらっしゃるので」と、ごはんを小鉢に変更OK。火・金曜は「サービスデー」として小鉢がもう一つ無料で付きます。
小倉ならではのメニューや
種類豊富な一品料理も

小倉が発祥とされる「焼うどん」は、醤油味とソース味の2種類。うどん麺は、ちゃんぽんなどに使っているお店オリジナルのスープで下味をつけています。これが味の土台となり、醤油でもソースでも合うそうです。どちらか迷ったときは、ぜひお店おすすめの醤油味を。コシのあるモチモチした麺と風味の良い割り出汁醤油が相性抜群です。

メニューのバリエーションも幅広く、例えば鶏料理だけでも鶏天、チキンカツ、ソテー、ぴり辛味、ソース焼きなどをそろえています。お客さまが好みに応じて選べるようにと、徐々に増えていったそうです。「チキンムニエル」は、女性に人気の一皿。鶏胸肉に卵をまとわせて焼き、焼きうどんの下味にも使っているスープで蒸しあげています。ふんわりと柔らかく、しっとりジューシー。プラス230円で定食にすることもできます。
ほかにも、毎月第1月曜に提供するこだわりのカレーライス、ブリを1本買い付けてさばきゴマ醤油で仕立てる刺身など、メニューにない料理が登場することも。それぞれに根強いファンがいるそうです。
現在、厨房には泰年さんの娘2人が立ち、料理を作っています。「娘たちも玉川食堂の料理をずっと食べてきて、味が舌に染みついています。迷ったときは舌を信じなさい、と育ててきました。」と泰年さん。祖母が開いた料亭からはじまり、両親、泰年さん夫婦へと受け継がれてきた「玉川食堂」。その想いと味は娘たちへと継承され、小倉の街とともに新たな歴史を紡いでいきます。

玉川食堂
-
住所
福岡県北九州市小倉北区魚町2-3-21
第30エルザビル地下1F
[ GoogleMap ] - 電話
-
営業時間
11:30~21:30(LO21:00)
-
定休日
水曜
-
アクセス
JR小倉駅から徒歩約5分