アンドロゴ_トップページリンク アンドロゴ_トップページリンク 夏号 No.202

九州 老舗名店探訪

長年愛され続ける名店を訪ねて
熊本市

フランス料理
ケルンよしもと

師から弟子へ継承を重ね
4代目が追及する“本物”の味
ケルンよしもと
▲1枚だけ残っていたという創業当時のメニュー ▲1枚だけ残っていたという創業当時のメニュー
▲1枚だけ残っていたという創業当時のメニュー ▲1枚だけ残っていたという創業当時のメニュー

洋食レストランから
本格的なフランス料理店へ

1967(昭和42)年、当時はまだ珍しかったという商業ビルにオープンした「ケルンよしもと」。有名レストラン「山小屋」を家業とし、バーテンダーだった創業者が立ち上げた洋食店でした。5~6年後に、スタッフとして働いていた木村孝憲(きむらたかのり)さんにお店を譲渡。木村さんは店舗を2倍に拡張し、一般的な洋食からフランス料理にシフトチェンジしていきます。当時は、ボージョレ・ヌーボーが日本に上陸し、華やかな料理が注目を浴びはじめた頃。時流に乗り、「ケルンよしもと」は本格的なフランス料理を楽しめるお店として人気を博しました。2003(平成15)年、木村さんはお店を3代目に譲ることに。後継者に選んだのは、木村さんのもとで15年修行し、ソムリエとしてもお店を支え続けた山本一哉(やまもとかずや)さん。山本さんは、3代目の経営者となりマスターを17年間務めました。

四代目の入馬道成(いりうまみちなり)さん_PC 1枚だけ残っていたという創業当時のメニュー_SP

「二人とも新たなお店をオープンして活躍されています」と話すのは、現オーナーシェフの入馬道成さん。実は、大学生のときに「ケルンよしもと」で4年間アルバイトをしていたそうです。当時のオーナーシェフは2代目の木村さんで、3代目の山本さんがバイトリーダーの役割を担っていました。初日に、木村さんからかけられた言葉を今も鮮明に覚えているといいます。「誰も見とらんけど、誰かが見とるけん、とにかく一生懸命頑張れ」。無骨でぶっきらぼう、だけど誠実で本物志向。キラキラした料理を作りだす木村さんに惚れ込み、憧れを抱いたそうです。

大学卒業後は熊本を離れ、一般企業に就職した入馬さんですが、13年後、熊本に戻ってきました。次に進む道を模索しながら、「ケルンよしもと」でアルバイトを再開。2年間悩んで出した答えは、「やっぱりこの店が好きで好きでたまらない。ここで働こう」という決意でした。それから8年後、山本さんから後継者への打診を受け、4代目としての道を歩み始めることになります。

四代目の入馬道成(いりうまみちなり)さん_SP
店内の様子
▲木村さん自ら山から桜の木を切り出して作ったテーブルが存在感を放つ
▲ランチはサラダ・スープ・ドリンク付き。「チキンドリア」1,600円(税込) ▲ランチはサラダ・スープ・ドリンク付き。「チキンドリア」1,600円(税込)

定番人気のフレンチランチ
自家製デザートにも注目!

シェフは代替わりしていっても、チキンドリア、ハンバーグ、オムライスなど、定番メニューは変わりません。「ケルンよしもと」が大切に守り続けている軸はぶらすことなく、それぞれのレシピは歴代シェフによってブラッシュアップされ続けているそうです。

名店の味を気軽に楽しめるのが、ランチタイム。「チキンドリア」は、チキンライスにベシャメルソースとゴーダチーズを加え、パリっと焼き上げています。一般的にドリアはバターライスですが、チキンライスにすることでケチャップの酸味が効いて軽やかに食べ進められるそうです。ベシャメルソースはクッキーのような香りを立たせるのがプロの技。パン粉に塩みのあるエダムチーズを混ぜ込んで焼くことで甘味・酸味とバランスをとりながら、香ばしく仕上げています。

▲ランチはサラダ・スープ・ドリンク付き。「チキンドリア」1,600円(税込)
▲「牛肉のチーズ包み焼き」ランチ1,800円(税込)

「牛肉のチーズ包み焼き」は、2代目の木村さんがフランスに渡航した際に考案したオリジナルメニュー。牛薄切り肉でチーズを包み、小麦粉・卵・パン粉を付けて揚げ焼きにしています。お店で使うチーズは全てオランダから輸入しており、うまみが格別。酸味のあるトマトソースがたっぷりかかった人気の一皿です。

▲ランチデザートの「昔ながらのプリン」「シャーベット」各350円(税込)

ランチの後には、2種の自家製デザートを用意。圧倒的人気というプリンは、キャラメルの濃度に合わせてプリンの火入れを変えています。キャラメルとプリンの柔らかさのバランスが味を左右するそうです。卵は、良質な穀物をエサに無菌状態で育てられた鶏が産んだものを使用。臭みがないため、バニラエッセンスを加えずにミルキーなプリンが完成します。

余韻の残る印象的な味わい
ビーフシチューもおすすめ

▲「ビーフシチュー」2,500円(税込)

一品料理のおすすめは、手間暇かけて作られるビーフシチュー。牛肉を野菜類でじっくり煮込み、こしたスープに真空パックで漬け込むなど、1週間かけて仕込んでいます。口に入れるとほろり柔らかく、ワインの香りがふわりと立ちます。ワインビネガーの酸味できゅっと締まった味わいが印象的で、余韻が残るおいしさです。

日々料理と向き合い、「ケルンよしもと」を愛してやまない入馬さん。お店が好きな理由は、「ここには本物があること」だと語ります。店内の床と天井は熊本の健軍神社を作った宮大工が手掛け、60年経った今もきしむことがありません。飾られている絵は、熊本県出身でスペイン在住の芸術家・川上順一氏の作品。外に出て店を見上げると目に入る「西洋料理ケルンよしもと」の看板は熊本県在住の画家・森田正孝氏が描いたものです。匠たちの息吹を感じる空間だからこそ、「料理も本物でなければ釣り合わない」と言います。“本物”を追及してきた、歴代のシェフたち。その心意気と情熱は、脈々と受け継がれています。

「牛肉のチーズ包み焼き」はチーズたっぷり!画家・森田正孝氏が描いた 看板が掲げられている 宮大工が手掛けた床は 時を経て深みを増す_SP
フランス料理 ケルンよしもとの地図

フランス料理 ケルンよしもと

※掲載している情報は、2026年5月22日時点のものです。