「今日はすき焼き!」となると、家族みんなの期待も高まります。
せっかくのごちそうだから、少しでもおいしく仕上げたいもの。
そこで、全国にその名を知られるすき焼きの名店『人形町今半』の調理長に、素材選びや調理の手順、タイミング、火加減など、さまざまな角度からすき焼きづくりのコツやポイントなどを伺いました。
教えてくれたのは…
人形町今半 JR博多シティ店
調理長 松尾 裕二さん
材料
作り始めるとスピード勝負になるので、肉、野菜、割り下など、しっかりと準備をしておきましょう。
(2人前)
リブロースまたは肩ロース …… 240g
春菊 ………… 1/2束
しいたけ ……… 2個
長ネギ ……… 1/2本
ニンジン …… 1/4本
焼麩 …… お好みで調整
しらたき ……… 30g
焼豆腐 ……… 1/4丁
牛肉
すき焼きにおすすめなのは、リブロースや肩ロース。肉質のきめ細かさや軟らかさがすき焼きに向いているそう。
割り下や玉子とのとろけるような滑らかなマリアージュが楽しめる。
長ネギ
早く火が通るように筒切りではなく、薄めの斜め切りに。
筒切りよりも味も染みやすく、食べやすい。
しらたき
水洗いし、臭みを取るため沸騰したお湯に入れて、再び沸騰させて1分ほど茹で、ざるにあげて水気を切る。
春菊
茎の硬い食感は苦みがあるので、できれば穂先の方だけ使うと春菊の風味を存分に楽しめる。
しいたけ
縮みを防ぐため、星形にくりぬかずに格子状に切り込みを入れると、ふかふかの食感に仕上がる。
割り下と薄割り
『人形町今半』のすき焼きは、割り下を使う関東風。スピード勝負のすき焼きでは割り下を用意しておく方が、調理が早くなり、肉のベストな焼き加減を逃しません。薄割りとは昆布だしのこと。割り下が煮詰まってきたら少しずつ足します。
〔薄割り〕
材料
昆布 …… 10g~20g
水 …… 1L
作り方
【1】
昆布を水につけて室温で一晩おく。
【2】
中火にかけて煮立つ直前で火を止め、昆布を取り出す。
〔割り下〕
材料
醤油 …… 100cc
みりん …… 100cc
砂糖 …… 30g
酒 …… 大さじ1
作り方
【1】
醤油を鍋に入れ中火にかけ、沸騰させないように温める。一面アクが出たら火を止め、アクを取る。
【2】
別の鍋にみりん・砂糖・酒を入れ中火にかけ、砂糖が溶けるように軽く混ぜ、煮立たせてアルコールを飛ばす。
【3】
【1】と【2】を合わせ、ひと煮立ちさせ、アクが出たら火を止めてアクを取る。
【4】
冷蔵庫で1~2晩寝かす。
作り方
お肉に火を入れすぎず、ベストタイミングで食べるのがポイント!すべては焼く人の采配次第。
鍋を中火にかけ、牛脂を鍋肌までまんべんなく焼き、鍋が温まりだしたら、割り下を敷く。割り下は鍋の中心から入れ、縁から2cm程あけるくらいの量を目安に。
割り下から泡がふつふつとしてきたら、一枚ずつ肉を広げる。肉の脂が溶け始め、汗をかいたようになってきたら、一度返し、ふっくらしたら取り出す。決して焦がさず、火を入れすぎないのがコツ。
肉の旨みが出た割り下に、しらたき、焼豆腐、長ネギなどの具材を入れる。割り下が煮詰まるのを防ぐため、薄割りで調節する。
野菜は煮えたら食べつつ、空いたスペースで、肉を広げて調理する。その際は中火に戻し、肉も野菜も順次入れる。味が濃くなったら、割り下と薄割りを2対1で加える。
弱火にしてなべ底に残った割り下に溶き卵を人数分加え、鍋に残っている旨味成分と混ぜる。卵がふつふつとなってきたら火を止める。半熟状態でご飯に乗せる。
人形町今半 JR博多シティ店
明治28年創業、すき焼きの老舗の福岡店。厳選された黒毛和牛と九州産の野菜を秘伝の割り下で炊く、東京スタイルのすき焼きが人気です。
福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多シティ9F
TEL.092-409-6600
営業時間.11:00~23:00(L.O.22:00)
無休
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