〈日本の薬膳〉食材図鑑 File05


日本の健康モデル食といわれる、日本型薬膳。旬のパワーを活かし、病気にかかりにくい身体づくりをめざす食材を図鑑形式でお届けします。

【にら】| Chinese chive |[学名]Alium tuberosum|
[分類]ユリ科ネギ属
[主な産地]高地、栃木、茨城など

選び方


葉の幅が広く、パリッとみずみずしく艶がよい、肉厚でやわらかいものがよいです。また、茎は白く光沢があり、にら特有の硫化アリルの香りが強いものが新鮮で美味しいでしょう。

◎にらはニンニク、タマネギなどと同じネギ属の野菜で、刺激の強い含硫化合物を含み、独特の芳香性があります。ネギ属の野菜は胃がん予防に効果があることが報告されています。含硫化合物やフラボノイドなどの成分がその予防効果を発揮していると考えられています。また、胃がんの原因の一つとされているヘリコバクター・ピロリ菌に対しても抗菌作用を示すため、この抗菌作用も胃がん予防に役立っていると思われます。

◎にらは中国医学を基本とする薬膳では補益(元気になる)の機能性がある食材で、夏のスタミナ食にもってこいの食材です。にらに含まれる硫化アリルはビタミンB₁の働きを強め疲労回復が期待できます。β-カロテンの含有量は3500μgと多く、葉酸も100g中100μg含まれており、無機質のカリウム、カルシウム、マグネシウムも含まれています。

栄養素・成分


食品成分表/にら 葉・生(可食部100gあたり)
●エネルギー・・・21kcal
●たんぱく質・・・1.7g
●脂質・・・0.3g
●炭水化物・・・4.0g
●食塩相当量・・・0g
●水分・・・92.6g
●カリウム・・・510mg
●カルシウム・・・48mg
●鉄・・・0.7mg
●マンガン・・・0.39mg
●ビタミンA(βーカロテン当量)・・・3500μg
●ビタミンK・・・180μg
●ビタミンB₂・・・0.13mg
●ビタミンB₆・・・0.16mg
●葉酸・・・100μg
●ビタミンC・・・19mg
●食物繊維総量・・・2.7g
参考資料:日本食品成分表2018(七訂)

監修/中村学園大学栄養科学部教授 三成由美、薬膳科学研究所所長 徳井教孝