キャンセル前提の複数店予約の罪

 数年前からマナーに反する飲食店のキャンセルが社会問題化しています。私自身も飲食店の方々から直に聞きますし、SNSをみていても、「きょうドタキャンがあり困ってます。誰か来られる人はいませんか」というお店の投稿があったりもします。
 もちろん、やむにやまれぬ事情でキャンセルしなければならないケースもありますが、当日の気分や一緒に行く人の希望でキャンセルすることを前提に、とりあえず数軒を予約する人もいるそうです。しかもそれでキャンセルするのを忘れたり、連絡もせず「行かなきゃいいや」と考える人もいるらしく、その場合、連絡なしで予約客が来ない、いわゆる「ノーショウ」という状況になるわけです。
 言うまでもなく飲食店は予約により席を確保し、提供する料理の仕入れ、仕込みを行います。キャンセルはそれらをすべて無駄にしてしまいますし、確保していた席のために、他の予約を断っていることもあることは理解しておかねばなりません。このご時世、今はほとんどないでしょうが、大人数の予約の場合はなおさらです。



キャンセルする場合は少しでも早く連絡を

 昨今では飲食店に代わってキャンセル料の回収をする弁護士グループや、そういう損害を保証する保険もあったりしますが、泣き寝入りしている飲食店も少なくありません。
 やむをえずキャンセルをしなければならなくなった場合は、少しでも早くその意向を伝えましょう。一緒に行く人や自分が行けなくなった場合は、ピンチヒッターを探すのは常識です。どうしても見つからない場合は、(これでは解決しませんが)最低でも代わりに他の日の予約をするべきでしょう。
 また当日キャンセルの場合は、こちらからキャンセル料を支払う旨伝えましょう。
 最近ではキャンセル補償を行う予約サイトも増えていて、店側やシステム側の防衛策も進んでいますが、まずは予約する側が、人として当たり前のマナー、店の損害に対する想像力をもつことが大切です。
弓削聞平(ゆげぶんぺい)
福岡とグルメをテーマにフリー編集者として活動。「epi」「ソワニエ」の元編集長。「福岡甘党図鑑」「福岡 気軽で楽しい町の寿司屋」等を発行する個人事務所「聞平堂」では、9月に最新刊「福岡 価格で探すご褒美ランチ」を発売。RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」に出演中。