飲食店はサービス業
飲食店は、飲食業、つまり料理を提供して対価をいただく商売ですが、一方でサービス業でもあるわけです。しかし世の中、サービス業であることを意識していないお店がときどきあります。言ってしまえば店主の店なわけですから、店のテーマをどうしようが、どういう店作りをしようが自由です。不潔だったり、無愛想な店であっても、料理などその他の部分に強い魅力があって賑わっている店もきっとあるでしょう。しかし、私はやっぱり飲食店はサービス業であることを意識してほしいと思います。おいしい料理や飲み物、そしてスタッフによる気持ちのいい時間を過ごせるための接客。それこそが(他にもありますが)よい飲食店の二大テーマだと思います。
店側のモチベーションを上げるお客側の行動
一方でお客側のマナーも重要です。たまにいますよね、横柄な態度の人。そういう人が近くの席にいるだけで気分が悪くなります。それは極端な例ですが、お客側もスマイルは重要です。何かしてもらったらその都度笑顔で「ありがとうございます」、料理を食べておいしかったらそれを表情や言葉で伝えることってとても大切です。実を言うと、ぼくはかなり人見知りで、こういうコミュニケーションが苦手です。そういうことが、食事の時間を豊かにしてくれて、より楽しい時間を過ごさせてくれることはわかっているのですが、うまくできません。でも、お客側のこういうコミュニケーションは店側のモチベーションを確実に上げますし、接客もしやすいものです。だから意識はして、できるだけ気持ちを伝えるようにはしています。ぼくの友人で、こういうことを自然になさる人がいて、その方と食事にいくと、いかに料理やサービスへの感謝を伝えることが重要かがよくわかります。そういうお手本となる方が身近にいてくださることにも感謝しています。
弓削聞平(ゆげぶんぺい)
福岡のフリー編集者。ウェブマガジン「UMAGA」編集長(https://umaga. net)。「ソワニエ」の元編集長。「私、この店、大好きなんです。」「福岡オンリーワン レストラン&ショップ」等を出版。RKBラジオ「オトナビゲーション」に出演中。