カウンター席での会話は意外に店主に聞こえてます

 日本にはカウンターで食事をするという外食スタイルがあります。寿司、天ぷら、会席料理など、和食系においては、高級店であればあるほど、カウンターこそがプラチナシートですし、フレンチやイタリアンなどの洋食もカジュアルな店はカウンターでシェフと話しながら食事をすることも多いでしょう。
 そんなカウンターで以前よく経験したのが、「想像以上にお客の話はカウンター内に聞こえている」ということです。食事をしながら同行者と話をしていると突然店主が会話に入ってきて(決して嫌な感じではなく、ごく自然に)、「えっ、今の話聞いてたんだ」と思ったことが何度もあります。別に聞かれてまずいような話ではなく、他愛もないことなので、一緒に話をするのはむしろ嬉しいことなのですが、料理に集中しているようでも、実は聞こえてるものなんだと思ったことは一度や二度ではありません。



相手の姿はみえませんが個室でも安心できません

 一方、個室を利用するときも会話には注意が必要です。完全に独立していて頑丈な造りの個室であればよいのですが、ふすまや薄い壁で仕切られているだけの個室も少なくありません。そういうとき、目には見えませんが、壁一枚隔てたところに他人がいるかもしれないということを認識しておかねばなりません。
 特に、職場や自宅の近くの場合、間接的な知人がいる可能性も高くなります。私の場合、誰と行っても飲食店の話題になることが多く、調子にのって話していると、隣に話題に上った店の関係者や知人がいることも考えられます(実際、知り合いや関係者が隣の部屋にいたこともあります)。個室の状況によっては、人の話、店の話などは、隣に関係者がいても問題がない内容にとどめておきましょう。
 また、話の内容だけではなく、声の大きさにも注意が必要です。目には見えていなくても、距離としてはすぐ近くに他人がいる場合もありますから十分配慮しましょう。
弓削聞平(ゆげぶんぺい)
福岡のフリー編集者。ウェブマガジン 「UMAGA」編集長(https://umaga.net)。「ソワニエ」の元編集長。「ぐる〜り糸島」「私、この店、大好きなんです。」「福岡オンリーワン レストラン&ショップ」等を出版。