藩の命を受け、奄美大島に潜居した西郷隆盛


 「世界三大織物の一つ」とも称される大島紬。発祥の地である奄美大島は西郷隆盛と縁の深い島です。
 薩摩藩の下級武士の家に産まれながら、勤勉実直な人柄と不屈の精神、行動力で藩主・島津斉彬に見いだされた西郷。後に藩を牽引し、薩長同盟を結んだり、江戸城無血開城を果たすなど、国を左右する重要な役割を担いました。一方で、島流しも二度経験。斉彬の死後、安政の大獄が進む中で入水自殺をはかり、藩から命じられて潜居したのが奄美大島でした。ここで西郷は機織りの名手であったとも伝わる愛加那と出会い、二人の子どもを授かります。自然豊かな島で家族と暮らした三年ほどは、西郷にとって生涯唯一の穏やかな時間であったかもしれません。


①奄美大島の青く透き通った海とそこに沈む夕日をイメージした、「AMAMIストールキイトカラー」(17,280円)。その昔、奄美で暮らした西郷隆盛もさまざまな思いを胸に美しい夕暮れの海を眺めたことだろう。
②精緻な文様を織り出した、大島紬ならではの技術で作られたストール。「煌シリーズ 更紗」(97,200円)


 西郷が暮らす以前から、贅沢品として一般島民は着用を禁じられていた大島紬。明治期の技術革新を経て昭和51年頃に需要のピークを迎えますが、当時5万人ほどいた職人も今では2千人を切るまでに。そこで、本場大島紬伝統工芸士の重田茂和さんが「時代に合った商品を」と開発したのがこのストール。自ら繰って染めた絹糸で織った、軽く肌触りのいい逸品です。


③「キイトストールボーダー・グリーンブルー」(17,280円)
④「大島紬キイトストール2nd・アプリコット」(12,960円)
⑤「黒サツマストール・ブルー」(12,960円)。黒サツマストールは大島紬らしい軽くてしっとりやわらかな質感と鮮やかな配色で、贈り物に選ばれることも多いとか。

西郷を慕って織られた「西郷柄」の新柄が誕生


 一方で、本場大島紬の魅力を伝え伝統技術を受け継ごうと、重田さんは昨年、伝統工芸士有志と共に西郷の曾孫、西郷隆文氏・隆夫氏をメンバーに迎え、「平成西郷星」プロジェクトを立ち上げました。
 隆夫氏の総合プロデュースの元、西郷と関係の深かった地域で大正時代に織られたという、幾何学模様を組み合わせた「西郷柄」の新図柄を考案。西郷の没年、地球に大接近した火星に西郷の姿を重ね、死を悼む人々が「西郷星」と呼んだという逸話にちなんで、「平成西郷星」と名付けられました。今年は火星が15年ぶりに地球に大接近する年。「平成西郷星」にも注目が集まりそうです。


⑥ネクタイ(43,200円)
⑦本場大島紬「平成西郷星」着尺(81万円)
西郷隆盛終焉の地となった城山(鹿児島市)に建つ「SHIROYAMA HOTEL kagoshima(城山ホテル鹿児島)」(099-224-2211)に展示、同「さつまブランドギャラリー」でも予約受付中。


「ランコントル」代表であり、本場大島紬鹿児島地区伝統工芸士会会長も務める重田茂和さんと妻の寿美さん。

大島紬秀円(株)ランコントル
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