〈日本の薬膳〉食材図鑑 File06


日本の健康モデル食といわれる、日本型薬膳。旬のパワーを活かし、病気にかかりにくい身体づくりをめざす食材を図鑑形式でお届けします。

【山椒】| Japanese pepper |[学名]Zanthoxylum pipentium|
[分類]ミカン科サンショウ属
[主な産地]和歌山、高知、京都など
[旬の時期]木の芽/3月〜5月
     青ざんしょう/6月〜7月
     実ざんしょう/11月

調理法


熟した実の皮を乾燥粉末にした粉山椒は七味唐辛子の材料としても使用されます。密閉して冷凍保存するとよいでしょう。

◎山椒は東洋を代表するスパイスの一つです。若葉は木の芽の名称で料理として使い、実が成るのは雄株と雌株のうち雌株のみです。「山椒は小粒でもピリリと辛い」と言われるように、独特の香りと辛味があります。
 香り成分は、ジペンテン、ゲラニオール、辛味成分はサンショオールです。食欲増進、血液循環、利尿作用を高める等の効果があります。

◎山椒のからさは、“辛”ではなく、“麻”のからさです。中医学ではからさは“辛”と“麻”の2種類があり、“麻”はしびれるからさの意味です。からさのもとはα−サンショオールという成分です。代表的な料理は成都の陳麻婆豆腐です。これは陳というお婆さんが最初に作った料理なので、そのような名前がつけられ、現在でも子孫が麻婆豆腐レストランを開いています。
 山椒には燥湿作用があります。梅雨のじめじめした時期や夏の蒸し暑い時期は暑さとともに湿が体内にたまり疲労を感じる原因になりますが、燥湿作用とは、その湿を取り除く作用です。麻婆豆腐発祥の地、成都は湿気が多い気候で、山椒には燥湿作用がありますので、成都の料理にぴったりなのです。他にも、山椒には健胃作用もあるといわれています。

栄養素・成分


食品成分表/さんしょう 粉(可食部100gあたり)
●エネルギー …… 375kcal
●たんぱく質 …… 10.3g
●脂質 …… 6.2g
●炭水化物 …… 69.6g
●カリウム …… 1700mg
●カルシウム …… 750mg
●マグネシウム …… 100mg
●リン …… 210mg
●鉄 …… 10.1mg
●銅 …… 0.33mg
●ビタミンA(β−カロテン当量) …… 200μg
●ビタミンB₂ …… 0.45mg
参考資料:日本食品成分表2018(七訂)

監修/中村学園大学栄養科学部教授 三成由美、薬膳科学研究所所長 徳井教孝