日本人の5人に1人が睡眠不足に悩まされる現代。わずかな寝不足が“借金”のように積み重なる「睡眠負債」という言葉が最近注目を集めています。静かに忍び寄る睡眠不足のリスクを知り、正しい眠りを研究していきましょう。

そもそも睡眠負債って?

米国スタンフォード大学の研究者が提唱した言葉。少しの寝不足が長期間積み重なると、精神や脳を蝕み、単純ミスだけではなく、がんやうつ病などの疾患を発症させる原因の1つになることが科学的に明らかに。


24時間社会の定着で日本人は年々寝不足に

人間にとって睡眠とは、「脳を守る」「脳を修復する」など重要な役割があります。日中、脳は膨大なエネルギーを使って働き続けており、その重量は体全体の約2%に対し、エネルギー消費量は安静時でも約18%にも及ぶとのこと。よって、7~8時間もの睡眠を取らないと脳は十分に回復できません。しかし、現代は“24時間社会”。寝不足の現実が、数字に現れ始めています。


女性の方が男性よりも実は眠りづらい

OECDの調査結果から分かるように、日本女性は世界でもっとも眠れていません。その原因の一つといわれているのが、女性ホルモン。「ヒトは深部(内臓)体温が低下することで眠りが誘発されますが、女性は女性ホルモンの関係で基礎体温が上昇し、眠りづらくなることも。月経、出産、子育て、閉経と女性は生涯を通じて睡眠の悩みを抱え続けやすいのです」と友野さん。それに加え、日本の場合、女性の社会進出が進んでもなお、女性が家事や育児など家族の中心として動いているという生活行動も挙げられます。「限りある24時間、家族に行動を合わせていくと、切り詰めるところは自身の睡眠時間となってしまうようです」。
また、春は昼夜の気温差が大きく、自律神経が乱れやすくなります。こういった気候の変化も睡眠を妨げる要因です。




Q.朝食の定番、納豆は夜に食べた方が実力を発揮する?


納豆の成分、ナットウキナーゼが血液中の血栓を溶解。寝汗をかき、血液がドロドロになることを予防してくれます。


Q.睡眠は90分周期で考えた方がいい?


睡眠周期には個人差があることが分かっており、約60分~110分の範囲で変動があるため、一概には言えません。


Q.寝不足で太ることってある?


睡眠不足で食べ過ぎを抑えるホルモン・レプチンの分泌が減り、食欲を増進するグレリンの分泌が増えることに。


Q.22時~深夜2時は睡眠のゴールデンタイムってホント?


特定の時間帯に成長ホルモンが分泌されるのではなく、最初の深い眠りの際に集中的に分泌されます。


教えてくれたのは…

睡眠コンサルタント産業心理カウンセラー
友野 なお さん
自身が睡眠を改善し、15kg以上のダイエット、体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究するように。全国で睡眠に関する講演を行う。著書に『正しい眠り方』など。

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