自分にはいい匂いでも強い香水は迷惑です

 お寿司屋さん、特に回らないお寿司屋さんのカウンター席は敷居が高いものです。恥ずかしながらぼくも40歳くらいまで一人で行くことはもちろん、率先して人を連れて行くこともできませんでした。慣れたのは雑誌の寿司特集のために集中して行ってからです。
 そんな敷居が高いお寿司屋さんですが、ちょっとしたマナーを覚えておくだけでその敷居はぐっと下がります。まず気をつけたいのは香水です。女性だけじゃなく、男性でもときどき強い匂いの香水をつけてる人はいます。こればっかりはお店側も対処のしようがないので、周りのお客さんが迷惑します。お寿司屋さんに限らず、飲食店に行くときの鉄則は、他のお客さんに迷惑をかけない、です。



「あがり」「むらさき」などの符丁(ふちょう)は使わない方が無難

 それから一見ツウっぽい「あがり(お茶)」「むらさき(醤油)」「おあいそ(会計)」といったことばを使うのは避けた方が無難です。これらはお店側が使う符丁なので、お客側が使うことばではありません。本来符丁というのは、お客にわからないようにするために、お店の人同士で使うことばですから。店主によっては気にしない人もいるかもしれませんが使わないにこしたことはありません。
 また、いざ食べるというときに手で食べるか箸で食べるか迷ったりしませんか。しかしこれはどちらでもいいんです。お店の方も何も気にしません。自分が食べやすい方で食べましょう。ただ、すごく柔らかく煮た穴子など、ネタによっては箸では食べづらい場合もあります。そんなときは迷わず手でどうぞ。ネタによって使い分けても全然かまいませんので。
 そして前々回も書きましたが、つけ台に出されたお寿司はすぐ食べるという大原則もお忘れなく。これこそ、一番大事なことです。
 こういったことに気をつけて、わからないことは素直に聞いたり、率先して会話をしたりすると、意外にお店の人も親切にしてくださり、楽しく過ごせるものですよ。
弓削聞平(ゆげぶんぺい)
2001年より福岡とグルメをテーマにフリーエディターとして活動。「epi」「ソワニエ」の元編集長。個人事務所「聞平堂」では「ぐる〜り糸島」「福岡グルメ トリビア〜ン」等を出版。近日「福岡 気軽で楽しい町の寿司屋」を発売予定。RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」出演中。