忙しい時間にかけてもいいことなんて一つもない

 ランチタイムに食事してるとお店に電話がかかってくることがあります。当然ながらお店はバタバタしているわけですが、多くの場合それは予約の電話なんです。しかも「どっちのコースにしようかしら」とか「シェフはお元気?」などと長々と話してるのを見た(聞いた)こともあります。といっても、電話越しですから、おそらくそんな会話だろうという予想ではありますが。
 まず今回皆さんにお伝えしたいのは、予約の電話はお店が忙しくない時間帯にかけましょうということです。えっ、そんなの当然? ですよね〜。「&and」の読者の皆さんはそうだと思うんです。でも…でもでもでも、お店の人に聞くと、けっこういらっしゃるらしいんですよ。予約というのは間違えるとえらいことなわけで、そういう大事な電話を慌ただしい時間にかけるのはとっても危険です。



日時だけではない予約電話で伝えること

 予約というのは日時人数を伝えるだけではない場合が多々あります。いい店であるほど、予約時にお客の情報を入手しようとします。どんな年齢層、関係なのか、会食の趣旨は何なのか等々。忙しい時間にはとてもそんなことを聞いている余裕はありません。それは結局会食の質にも影響します。逆にお客側もお店にできるだけ情報を伝えた方が会食の満足度は上がります。たとえばコースでお願いするような場合であれば、メンバーの苦手な食材や料理はあらかじめ確認しておくべきですし、少食の人がいるならば、「量を加減できる料理は量を少なくしてほしい」旨を伝えた方がよいでしょう。たかが予約、されど予約。初めて行く店であれば、ファーストコンタクトである予約の電話でお店の人はお客をイメージします。そこで店側に「当日が楽しみだな」と思ってもらえるかどうかって、実はすごく重要なんです。
弓削聞平(ゆげぶんぺい)
2001年より福岡とグルメをテーマにフリーエディターとして活動。「epi」「ソワニエ」の元編集長。個人事務所「聞平堂」では「2000円以下のご褒美ランチ」「ヌードルライター 秘蔵の一杯」などを出版。6月15日に新刊「福岡 路地に隠れたうまい店」を発売。