アンドロゴ_トップページリンク アンドロゴ_トップページリンク 春号 No.197

九州 老舗名店探訪

長年愛され続ける名店を訪ねて
福岡市

カフェ ブラジレイロ

伝説の喫茶店を復活させ
戦後、福岡のコーヒー文化をけん引
カフェ ブラジレイロ店舗
▲店屋町の路地でひときわ目を引く洋風レトロな外観
1952 (昭和27) 年 現在の場所に移転オープンしたころの「ブラジレイロ」▲1952 (昭和27) 年
現在の場所に移転オープンしたころの「ブラジレイロ」
先代の中村安衛さんご夫妻(写真前方左からお二人) ▲先代の中村安衛さんご夫妻(写真前方左からお二人)

多くの文人たちが集った
福岡最古のカフェ

1934(昭和9)年、ブラジルサンパウロ州のコーヒー局がPRのために開業した喫茶店「ブラジレイロ」。東中洲に立つモダンな白壁2階建てのこの店は、“本場のコーヒーと本格的な西洋料理を味わえる店”として、当時の博多っ子の憧れの的に。火野葦平や北原白秋、夢野久作など多くの文人たちが集う文化サロンとしても知られていました。しかし、戦争の影響で1944(昭和19)年、惜しまれつつ閉店。建物も解体されてしまいます。

二代目オーナーの中村好忠(よしただ)さん(写真右)と配偶者の久美子(くみこ)さん 1952 (昭和27) 年 現在の場所に移転オープンしたころの「ブラジレイロ」 先代の中村安衛さんご夫妻(写真前方左からお二人)

1934(昭和9)博多区店屋町の路地角に立つ現在の「ブラジレイロ」は、かつて支配人を務めていた先代・中村安衛(やすえ)さんが、戦後1946(昭和21)年「レイロ」という名で御供所町(ごくしょまち)に開業したもの。
1952(昭和27)年にルーツである「ブラジレイロ」に店名を改め、今の場所に移転しました。以降、“福岡最古のカフェ”として、福岡のコーヒー文化をけん引しています。

カフェの店員
店内の様子
▲2階はゆっくりくつろげるテーブル席。店の歴史を感じる写真やレトロなポスター、地元作家による絵画などが飾られている
「ミンチカツレツ」1,650円(税込)▲「ミンチカツレツ」1,650円(税込)

コーヒーに並ぶ人気メニューは、
手作りの洋食とスイーツ

こだわりの自家焙煎コーヒーと共に人気を誇るのが、東中洲時代からコックを務めていた初代シェフの味とレシピを、時代に合わせて柔軟にアップデートしてきた洋食メニュー。

ラグビーボールのようなフォルムが独特な「ミンチカツレツ」はSNSでも話題に。ピラフ風ライスにふんわりトロトロのオムレツがのった「オムレツライス」など、素材にこだわって手作りされた昔ながらの洋食(全てデミタスサイズのマイルド・ブレンドコーヒー付)は予約必至です。

「ミンチカツレツ」1,650円(税込)
「オムレツライス」レギュラー1,450円(税込)
「バスク・レアチーズケーキ」600円(税込)水出し抽出の「クラシック・ブレンド」650円(税込)

手作りの「バスク・レアチーズケーキ」は、コーヒーの味を引き立てるシンプルな味わい。先代の安衛さんが作った「クラシック・ブレンド」は、ほろ苦さと程よい甘みが特徴の看板コーヒー。コク深くさわやかな後味が特徴の水出し抽出で注文すれば、最初はストレートで、後半はホイップされたクリームをフロートして「カフェ・ヴィエンナ」としても楽しめます。

2代目オーナーの好忠さんが店を引き継いでから、ブレンドの種類を増やし、現在は5種類のブレンドコーヒーを味わうことができます。

「その日の気分やメニューに合わせて、じっくりコーヒーを楽しんでください」と言うのは、長年にわたり好忠さんと共に店を切り盛りしてきた配偶者の久美子さん。今は高齢の好忠さんに代わり、全ての焙煎を行っています。

「良質なこだわりコーヒーをゆっくり楽しんでほしい」という先代の思いを大切に、時代に寄り添い変化を続けるカフェの名店。レトロなのにいつも何かが新しい。そういうしなやかさも、時代を超え、世代を超えて愛される「ブラジレイロ」の魅力です。

優しい笑顔が印象的な久美子さん 2階には、東中洲時代の写真も飾られている オリジナルの自家焙煎コーヒー
カフェブラジレイロの地図

カフェ ブラジレイロ

  • 住所

    福岡市博多区店屋町1-20
    [ GoogleMap ]

  • 電話

    092-271-0021

  • 営業時間

    10:00~19:00

  • 定休日

    日曜・祝日、年末年始

  • アクセス

    福岡市地下鉄「呉服町」駅より徒歩約2分

  • Instagram

    @cafebrasileiro1934

※掲載している情報は、2025年2月25日時点のものです。